下腹ぽっこりを凹ますために、激しい腹筋運動は必要ですか?
激しい運動がカラダに効く!という思い込みの罠
ボディチューニング®を初めて受けていただいたクライアントさんに言われてとても嬉しかった言葉があります。それは「カラダを芯から変えるのに激しい運動はいらないのですね」という感想でした。若いときに随分とハードなヨガも経験したという彼女にとって、この感覚は新鮮だったようです。激しいというのは、息が上がるような、汗のダラダラ出るような、瞬間の最大出力がうわっとものすごく高いような…そういった運動のことでしょうか? 翌日起き上がれないほどの筋肉痛などがカラダに効いた!という昭和のトレーニング伝説は、まだまだ現在にも根深く残っているのかもしれません。
昨年末の2daysワークショップでの話。クラス冒頭で、今日は何がしたいか?という質問をよくします。その日は「お腹にぐっと効かせたい」という要望が、お一人からありました。これはこの問題に触れるいいチャンス!と思い、かわいそうでしたが、張り切って切り込ませていただきました。
「昨日もクラス受けて、今朝は足腕背中にはキタって感覚があるのですが、お腹にはないんです。」
「キタって感覚が欲しいの?」
「はい、使った感があるので。」
「ふうん….使った感。なんのためにそれが欲しいの?」
「……………….いや、普段から私には腹筋がないと自覚があって。姿勢よく立ちたい、そのためには腹筋が必要と思って」
「ふうん…立つために。じゃあ、立つ時は腹筋だけで立っているのかな?」
「………………いや、歩く時も。ふらふらするんです。もっと安定したいなと」
「ふうん…歩くために。じゃあ、歩く時は腹筋だけで歩いているのかな?」
「いや……………….ですよねえ笑」
というように、矢面に立たせてしまって本当に申し訳なかったです。しかし、多くの人がこのトラップにはまっているような気がします。いい質問でした。なんでも腹筋のせいにするのもどうかと思います。ましてや、キタキタ〜っていう表面の腹筋(腹直筋)がそんなに必要かも疑問です。
(多くの人が腹筋というと図の赤い部分をイメージしますが、これは一番表面上にある腹直筋で、むしろ体の安定性を図るコアの腹筋はインナーユニットと呼ばれるよりコアにある筋肉になります。この話はまた次回ゆっくりと)
「やった感」「キタ感」「がんばる感じ」「達成感」。
カラダをチューニングすることの目的はそれでしたか?
ここで、またチューニングすること、体を動かすことのそもそも目的を考えてみましょう。
1.しなやかで強い体になること
2.美しいウエスト
3.深い呼吸
4.血行をよくする
5痩せる&ダイエット
6.美しい姿勢
7.立った時の安定感
etc……
目的は何でもいいです。それはもちろん個人の自由です。質問してくれたクライアントさんは、もう5年以上も続けてくれている方で、細くて美しい女子です。6と7が目的なのは会話でわかりましたね。しかし、なぜか「キタ」感にこだわっている。どうしたものか? どうやらどこかで目的と手段が入れ替わってしまいました。「がんばる感」や「キタ感」がなくても、目的に近づけたらそれでいいかなと思うのですが、そうはいかないのが、真面目な証。痛い思いをしないで何かを得るなんてありえないしむしろ不安という思い込み。努力しないで手に入るなんてありえない…..そう思ってしまうがんばる人々は多いのです。えらいなあ。
しかし、残念ながら、体つくりにおいてはその努力の方向性が少し違ってくるのです。がんばらないけど(キタキタ感を求めない)、がんばらないでよくなるまでの努力をするというか…..それが感じながら正しく動くことをマスターすることなんですね。難しく言えば、身体感覚を伴った動き方を学ぶこと。
Do more with less power!
ブルドーザーで落ち葉を動かす愚をやめましょう。
必要最小限の力で、最大限の効果を出す….それが理想のカラダの使い方です。ボディチューニング®をはじめ、ヨガやその他のボデイワークの考え方です。
でもでも、そんなこと言っても腹筋を使いたいんだろうなと思ってw
クライアントさんのリクエストにできるだけ応えたいといつも思っていますし、トレーナーとしてそれはすべきだと思います。だから腹筋はします。でも彼女の使いたい腹筋は、腹直筋などわかりやすいアウター筋だったので、そうじゃないもっとお腹の奥の方のインナーマッスルや下腹部の筋肉を感じてもらおうとその日はクラスを構成しました。
ではなぜ?コメツキバッタのような腹筋を何百回もやることがナンセンスなのか?
長くなりました。
この続きはまた明日に!
今年出会った中で一番お腹がぽっこりしていた彼ら….。タイのチェンマイの郊外、Mae Taengにて。本を読みました。象に乗りました。ただそれだけ。何もしないことってなんて贅沢なんでしょう。何もしないことが多くのことを生み出したと思います。なんてなんて贅沢。