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74歳になってもTTを着てガードレールの上で鳥座りをしてほしい。

TT=タンクトップ

鳥座り=こんな言葉はありません。ガードレールの上にちょこんと座り、両足(foot)は二段目のレールに乗せて、上半身は自然と力が抜けて手も自由に楽に座っている様子。私の中での妄想イメージは、私の青春アイドル、リバー・フェニックスがこんな格好をしていた気がする!と思って検索したけど写真なし。ただの本気の妄想だったか。

 

最近、すっかり早起きの習慣化が進み、いや、もしやこれは早朝覚醒なのかという多少の不安を持ちつつも体調がものすごくいいのでアーリー・バード継続。早起きしていつも行くカフェがある。が、昨日は日曜日。私の行きつけは、週末は8時からオープンになってしまうので、7時から空いている系列店までちょいと足を伸ばしてみた。すると….早朝だというのに、犬を連れたご近所の方々で1Fは賑わっていた。ドッグコミュニティってのがあるんだろうなー。早朝、東京はいい。違う空気が流れている。

そんな中、真っ黒なNew Era帽を被り(多分自社ブランドとのコラボだと思われる)、いわゆるロマンスグレー、いや、グレースケールでいえばホワイトに近い長髪をなびかせ、グレーのタンクトップを着て、ただならぬシックなオーラを放つ男性がいた。彼の足元をみると、暑さでびよ〜んと伸びきった髪の色とと同じシルバーの可愛いシベリアンハスキーがいる。

彼は席を立ち、カフェの前のガードレールにひょいっと乗り上がる。斜め後ろの電柱に少し寄りかかりながら、タバコに火をつける姿がなんともセクシーだった。というか、少年のようだった。なんだろこのぐっとくる感じ….と、少し自分の感覚を味わってみる。そういえばガードレールの上に座る男の子たちの姿を、私は随分目にしてきたなと思った。古くは小学校時代から。小学校の校門の前にすぐガードレールがあって、そこにちょこんと座っている男子たちにドキっとした。しかし、その横になんだか怖い上級生のお姉さんがいてオエッとしたりもした。さらには大人になってからも….。そうそう、私が待ち合わせに遅れる理由は、そのちょこんとガードレールに乗って待っているちょっとさみしそうな鳥姿が見たかったからなの。って、今、気づいた。あはは。

さて、話を戻そう。なぜ、彼がそんなにもセクシーに見えるのか? 私のトラウマ、いや、過去の思い入れは置いておいて、 まず、その体勢をとれることがすごいなと思った、74歳で。(思わず、ググって年齢を確かめてしまった) 両手でぐっとガードレールを押し、スレンダーなボディを一度にぐっと持ち上げた。両足は地面に付いていない。隣にもおしゃべり相手の男性がいて、その姿はまるで対照的だった。カラフルなアロハシャツを来て、釣りっぽいキャップを被り、腕を組み、お腹がぽこんと出てガードレールに腰で寄りかかっていた。大概こうなるよね。リラックスした感は個人的にはとても大好きだし、うちの父だってそう。年相応の老人ぽさと年齢不詳の少年ぽさ。その差は、なんだろうか? 彼は、ガードレールに寄りかかりながらも、ちょっとハスに構えている。そしてゆっくりとタバコに火をつける。そうこの、斜めの動作ラインというのがセクシーさを生む。やはり所作(機能)が美しいのか?しかし、お腹がポコ〜んとハンプティダンプティのように出ていたら、まず、両脚を閉じてガードレールに上がれない。お腹が邪魔し足が開いて、腹筋が入らないので上体が反り、ひっくり返ってしまうだろう。ということで、構造(スタイル)も、大事な要素になってくるよね。

 

美しい所作をするからスタイルがいいのか、スタイルがいいから所作が美しいのか?

 

両方だ。機能が構造を作っても、構造が作ってもどちらでもいい。そしてやはり、彼は、人のフォルムと所作を究極に美しく見せる服を作る人なんだなと心から感動した。そして、本をポチッとしてみた。